こんにちは!
矯正医の井上です。
今日はちょっとこの写真を見ていただきたいと思います。
左と右は、それぞれ別のひとの歯のレントゲン写真です。
乳歯の下に永久歯の卵が控えていますね!
乳歯の奥歯の根っこ、実はよく見ると2本に分かれています(緑のラインでふちどった部分)。
この分かれ目のすぐ下に、次に生えてくる永久歯の卵がすっぽり収まっているのをご存じですか?
よく見ると、左と右では、根っこの開き方や、永久歯が控えている位置に違いありますね。
じつは面白いことに、この根の「開き方」は、下で育つ永久歯の状態を映す小さな、でもとても重要なサインかもしれません!
根がしっかり開いていれば永久歯の卵も収まりの良い位置に、
逆に根があまり開かず足長に見える場合は、
永久歯の卵の位置に注意が必要なことがある——
そんな報告がいくつかの研究であります(Peretz et al., 2013 ほか)。
つまり、乳歯の根っこの開き具合で、のちの歯並びの状況がなんとなく予想できるということですね。
では、この根の開き方の差は何から生まれるのでしょうか。
カギを握るのは「顎の骨」の育ち方、そしてその顎の育ちを左右する噛み方だと考えられます。
噛み方には大きく2タイプ👇
🔹チョッパー咀嚼:ガブッと大きく開閉、噛む回数少なめ (ライオンの食事イメージ)
🔹グラインディング咀嚼:奥歯ですりすり、丁寧に長く噛む (牛の食事イメージ)
前者は噛む回数が少なく、ある程度かんだら塊をごっくんと飲み込む感じで、食事中は舌を噛まないように舌は後ろに下がりがち。
後者は噛む回数が多く、ドロドロになるまで噛んだ食べ物がのどに流れこむ感じで、舌は頬筋や口輪筋と協調してしっかり働きます。
このグラインディング咀嚼の時の、舌やお口周り、お顔周りの筋肉の動きが、顎の骨をゆったりと幅も奥行きも育てる働きをするんです!
顎の骨がしっかり育てば、乳歯の根っこも自然に左右にバランスよく開いて
そのぶん永久歯の卵も乳歯の真下、正しい位置に収まりやすくなり、のちの歯並びの乱れも出にくくなる。
——そんな流れが考えられます🦷✨
そしてこのグライディング咀嚼の土台作り、実は離乳食の最初の一口から始まっているんです。
ドロドロの離乳食を、ほんの少量、みなさんが想像しているよりも、もっともっと少量ですよ!
赤ちゃんの親指の爪くらいの量です!
そのほんのちょっぴりの量を、舌で上顎に擦りつけるように処理する経験。
この最初の経験が、舌を巧みに動かす力を育て、やがて奥歯ですりつぶす噛み方へとつながっていきます。
大切なのは、少量からゆっくり、食べ物の質感をていねいに段階的に変えていくことで、グラインディング咀嚼の素地を育むということです。
矯正治療は歯並びが乱れた後を整える大切な治療ですが、
乱れが起きにくい土台を赤ちゃんの頃から一緒に作っていくこと大切だと思います。
レントゲンでみる乳歯の根っこの形は、赤ちゃんから経験してきた食事の積み重ねを映しているのかもしれません☆
残念ながら、意識してしまうとグラインディング咀嚼は引き出されません・・・。
条件を整えてあげるとグラインディング咀嚼が登場します。
☆やわらか食を、お箸でつまめる程度の量で、お行儀よくお口に運ぶ☆
たったこれだけです!!
気を付けていただきたいのは、パンと麺はやわらか食に含まれませんのでご注意を☆

